この記事は実際に自己破産を体験された借金総額500万円、30代の女性の方に自己破産をすることになった経緯や、自己破産後の状況・心境などを取材させていただき体験談をそのまま掲載しました。
まさに今、借金生活に苦しんでいる人に読んでいただき、自己破産の不安が解消され、借金問題の解決に向けて参考になれば幸いです。
【自己破産体験談】まずは借金が増えていった経緯を教えてください。
どうして借金をすることになってしまったのか?きっかけは?
キャッシングの始まりは、引越しの際に必要な家電製品の購入だったり、ほんの数万円足りなかった生活費を補う程度のキャッシングでした。
仕事も安定していましたし、結婚生活も安定していたので、特に何も不安はありませんでした。
ただ、配偶者が身体障害者なので、体調問題に左右されることも多く、その場合は仕事を休んで付き添いをしたり、看病をしなくてはいけないということがありました。
入院も1度くらいであれば、仕事にそこまで支障はありませんでしたが、徐々に配偶者の体調が悪化し、入院をする回数が増えていきました。
私は配偶者の体調が悪化する前からクレジットカード会社に勤務していた関係もあり、複数枚のクレジットカードを持っていました。
クレジットカードの使い道としては、
- ポイントをためるため
- 日常生活に必要なものを購入するため
程度でした。
しかし配偶者の入院の付き添いなどが増えてくると仕事を休むことも多くなり、減った給料をキャッシングで補うようになっていきました。
そしてそのような暮らしが続く中、子供ができました。
子供ができ、これからもっと出費が重なると思ったので、当時勤めていた会社の給料ではきつくなっていくと思い、もう少し給料の良い会社に転職しました。
そこで少し生活のサイクルが変わるかなと思っていましたが、配偶者の入退院が多くなり、子供の世話をしてもらえるところも預かってくれるところもなかったので、自分が会社を休んで子供の世話をするようになっていきました。
最初から相手が障害者だということは理解して結婚したので、何も文句はありませんでしたが、一度入院すると2ヶ月くらいは退院できないので、その都度休みをもらい、その間の生活費はキャッシングやショッピング枠を使ってどうにかしのいでいくという感じになりました。
給料が良い会社だったので、ギリギリながらもなんとか生活はできていましたが、ある時会社が合併し、在籍していた会社は吸収される側になったので、合併先の会社の意のまま、既存従業員の給料カットが行われ、自分の給料も10万近く減りました。
そこから、自分でもどうしようもなくなっていったと感じています。
最初は借金を返せていたと思いますが、どうして借金が膨らんでしまったのですか?
給料が入社当時よりも10万円近く減り、配偶者の体調も安定せず、看病や子育てのため欠勤が続きその分給料はさらに減り、配偶者の生命保険の入院給付金だけでは到底まかないきれないところまできていました。
本当なら、この時点で配偶者に「借金が増えてきている。生活がどうにもならない。」と相談するべきでしたが、障害を負っている相手を責めているような気がして言えずにいました。
その頃、どうにかしてお金を増やせないかと思い、自宅でもできるような仕事を始めてもみましたが時間ばかりがかかって収入にはつながりませんでした。
配偶者に心配はかけたくなくて、メインで使っていたカードが限度額になる頃、補えない生活費を今まで使っていなかった他のカードのキャッシング枠を使って支払うようになりました。
この頃から、徐々に借金は増えていったと思います。
借金を返してはまた借り、という自転車操業を繰り返していき、どこかで折り合いをつけるはずだったのに、結局毎月の支払金額だけは増えていき、給料では到底支払いきれない状態になっていきました。
ここまでくると、だんだん頭の中が真っ白になってしまうのか、もともとの収入源の中でどう支払いをしていくのか、ということではなく、「とにかく借りて返さなくては」という気持ちでいっぱいになっていきました。
そしてすべてのカードが限度額に近づいた時には、未納の督促状もよく届くようになりました。
最終的に借金総額はどのくらいでしたか?
クレジットカード10社、銀行融資2社全てを弁護士事務所で全て計算してもらった時は、総額500万円程度でした。
自分では300万円くらいかと思っていたので、ここまで認識の差があることに驚き、自覚の無さや管理能力のなさに、情けない気持ちになりました。
借金が増えていき生活が困窮していく中でご自身の想いはどのようなものでしたか?
毎月毎月支払いができない、収入が増えても全部根こそぎ借金返済で消えていき、またわずかに残されたショッピング枠を使って食料品を買っている自分は怖かったです。
「このままどうなるんだろう」という思いと、あまりにも借りることに抵抗感がなくなっていたことから「まあどうにかなる」とか「来月こそは副業をもっと頑張ろう」など、どこか夢を見ているような部分もあったような気がします。
当時の我が家の家計は、配偶者の生命保険料や携帯電話料金、病院に行くためには必須の車のローンなど生活費以外にも固定費が多いという状態でした。
それらの支払いは配偶者の障害年金でどうにかしてもらっていましたが、どうしても難しい時はお金の補充が必要なので、借入をして渡していました。
配偶者には通常の給料から出していることにして、毎月の収入や収支を伝えることはなかったので、嘘をついていることへの後ろめたさと、全く減らない借金が辛かったです。
この頃、借金で苦しんでいることは配偶者に言えていなかったので、当然他の誰にも言えるわけもなく一人で抱え込んでいきました。
このような状態になっても、どうにか払える範囲で借金を減らして、ごまかしごまかし生活していければいいなと、まだ思っていました。
だけど心のどこかで「無理」「苦しい」「辛い」という気持ちもあり、いろんな矛盾が心の中で浮かんでは消えて、当時の自分の気持ちをはっきり言葉にしてみようと思っても、うまい言葉が見当たりません。
とにかく、嘘をついていること、支払いができない焦り、でもどうにかしたいという気持ちがぐるぐる巡っていたと思います。
【自己破産体験談】自己破産をすることになった経緯
自己破産をする時に不安や恐怖はなかった?
自己破産をするということに対して、非常に不安でしたし、すごく嫌でした。
自己破産というと、どこか「人間の終わり」というか「自己破産するなんて最低だ」というようなイメージが強くあり、自分もそんな人達の仲間入りすることが怖かったし、嫌でした。
借金を繰り返していた時は自己破産などということは頭のどこにもなかったですし、いざ自分が自己破産することになった時は何もかもが、怖くて、不安でした。
弁護士さん・司法書士さんへ相談することにした経緯は?
ずっと配偶者に借金について秘密にしてきましたが、未納による督促の電話を無視して支払期限までにお金を支払えなかったことから、とあるカード会社が自宅に督促訪問でやってきました。
その日、自分は仕事をしていましたが配偶者は自宅にいたので、督促状を見て、初めて支払いをしていないことがバレてしまいました。
すぐに連絡があり、配偶者の親が今の未納分は全て払うから、とにかくどうするのか考えなさいと言っているとのことでした。
ああバレてしまったんだなという思いと、やっと話せるという両方の思いで、言いようのない不安な気持ちと安堵の気持ちが入り乱れていて、仕事に集中できなかったことを覚えています。
自宅に帰り、配偶者に今の状況を全て話し、支払いしていないものがたくさんあることを伝えました。
「どうするつもりなの?」と聞かれて、全く答えられませんでした。
どうすればいいんだろう、とこの時考えましたが、この時点でも自己破産という選択肢はありませんでした。
ただ、ずっと配偶者の親に家賃やカードの支払を払ってもらうわけにはいきませんし、同時期ガスが止まるという今までになかった部分にまで影響が出てきたことを考えて、もう弁護士事務所に相談するしかないのかな、と思うようになりました。
配偶者にもその旨を伝えて、2つの弁護士事務所に相談しに行くことを決めて、それぞれの費用や条件を比較して依頼する弁護士事務所を決めることにしました。
この時点でもまだ自己破産ではなくて任意整理をしようと考えていましたが、どちらにしてもまずは相談をしに行こうということになりました。
【自己破産体験談】自己破産が成立するまでの流れと時間・費用は
弁護士との打ち合わせまでの流れ
めぼしい弁護士事務所2社にそれぞれ電話をして、債務整理をしたいと伝えました。
どちらの事務所も、
- だいたいどれくらいの借金があるのか
- 毎月の支払額はいくらか
- 消費者金融からは借りているか
- 月収はいくらか
といったことを聞かれ、すぐに面談しましょうということになりました。
受付けてくれたのは、事務員の女性でしたがどちらの事務所も非常に感じが良くて安心したことを覚えています。
1社は面談の対応に疑問があったので、もう1社に期待をしながら相談に行きました。
相談の際に必要だったものは、所有しているクレジットカード全部と印鑑だけです。
こじんまりとした弁護士事務所でしたが、すぐに個室に案内されて事務員が話をするのではなく、直接「弁護士」がきちんと相談に乗ってくれたので信頼できそうだなと思ったことを覚えています。
最初は、電話で話した内容の反復と実際にそれぞれのクレジットカードの残債はどれくらいなのか、それぞれ月々いくら支払っているのかを弁護士が表に書き込んでいき、月々の固定費についても同様に答えました。
そこから、収入と照らし合わせた上でどんな債務整理の方法があるのかということや費用を説明され、希望はどんな方法かをまず聞かれて、任意整理と答えました。
希望を聞いた後、任意整理というのは結局和解後に分割で支払いを続けなくてはいけないこと、この債務額だとどれだけ分割をして安くなってもかなり月々の負担は残ってしまうことを言われました。
なので、「きちんと生活を立て直したいのであれば、自己破産が最善だと思う」と言われました。
私が、なんとなく「わかりました」と言えない顔をしていたのでしょう、弁護士の口から「自己破産は悪いこととか、ダメなことではないんですよ、もう一回人生を生きるためにすることなんです」と言われて、思わず涙が出てしまいました。
一度、考えてみてくださいと言われ、自宅に帰って配偶者と相談し、自己破産をすることに決めました。
自己破産を依頼する際に用意した書類や提出したもの
自己破産をしようと決意し、弁護士事務所に改めて連絡をすると、
- 印鑑
- 免許証などの身分証
- 持っているクレジットカード全て
- 銀行口座のキャッシュカード
を持って再度来所するように言われました。
印鑑は、契約書や重要事項説明書に捺印するために必要で、クレジットカードは全て預け、キャッシュカードはコピーをとって返却してもらいました。
必要なものを渡した後は預かり証をもらいました。
その後、今後の流れを説明されて、かかる期間や自己破産には同時廃止と管財があり、それぞれの特徴やメリットデメリットを教えてもらいました。
「同時廃止を目指して進みましょう」と言われた時は、とても心強かったです。
管財になると、どうしても時間がかかるし管財人が間に入ることによって、こちらのストレスもかなりのものになることは予測できたので、同時廃止になるように祈っていました。
自己破産の弁護士費用の支払い
自己破産を行うにあたって、着手金、印紙や切手などの費用すべて含めて544,000円がこの事務所では必要でした。
支払方法は
- 一括
- 期限を決めて一括
- 分割支払い
の3つありました。
保険を解約する予定があったので、「期限を決めて一括」の方法を選択しました。
契約書にも支払金額と振込先が書かれているので、とてもわかりやすかったです。
費用に関しては、とてもわかりやすかったですし、弁護士事務所独特の料金が発生するようなこともありませんでした。
自己破産の成立までのスケジュール
自己破産をすることが決まった時に、必要資料や提出しなくてはいけない書類の表と「自己破産をするにあたっての心構え」というプリントをもらいました。
表を見るだけだと、そこまで多く感じませんでしたが、集めようとするとかなりの量になりました。
必要書類を一式集めてからでないと申し立てを始めることができないので、自分と配偶者の分それぞれ必要な書類一覧表を確認しながら集めました。
役所で取らなくてはいけない住民票や戸籍謄本、課税証明書も必要になりますが、課税証明書には簡素なものと詳細が記載のあるものがありました。
この時、課税証明書は簡素なものでいいかな?と思っていましたが、役所の方から「何か提出するのであれば、詳細が記載されたもののほうがいいですよ」と言われて、詳細記載の課税証明書を取り寄せましたが、結果的に正解でした。
必要書類の中でもっとも大変だったのは、通帳類全てのコピーです。
ココに注意
コピーの方法も決まりがあり、全ての通帳を過去1年分コピーして送りましたが、実際には1年以上必要だったようで、かなりやりとりで苦労したことを覚えています。
本来は弁護士事務所に通帳類は預けることが一般的だと後から知りましたが、自分の場合は電話や書面でやりとりをしながら、全て自分でコピーして送付を行なったのでとても手間がかかりました。
書類一式がきちんと揃った後は、「破産・免責申立書」を作成するために自分の経歴を事務員が聞き取りを行いました。
来所でもいいし、電話でもいいとのことだったので、自分は電話で行いました。
時間としてはだいたい2時間程度です。
両親は健在なのか、最終学歴、職歴などさまざまな内容を話し、そこから「このくらいの時期からカードの利用が増えているがどうして?」「カード利用に抵抗感はなかったのか」など、どうして借金に至ったのか、その時はどういう気持ちだったのかということをかなり深い部分まで話をしました。
その後、「破産・免責申立書」が仕上がったら、裁判所に送付したもののコピーが自宅にも届き、かなり分厚く時系列になっているので自分で振り返るにもいい機会でした。
少し違うかな?と思う部分があれば、弁護士事務所に電話をして調整してもらえるとのことでしたが、自分は特に何もなかったので、そのままお願いしました。
その後、申立書を見た裁判官から追加書類の依頼が来たり、反省文の提出を求められるなど、破産が決定するまでにはだいたい2ヶ月程度かかりました。
自分の場合は、通帳のコピーを追加、反省文の提出、裁判官との面談を経て、同時廃止が決定しました。
自己破産が完了した際の通知書など手元にある書類
自己破産が完了すると、裁判所から自己破産が決定したことを通知する「免責決定通知書」が弁護士事務所経由で届きます。
この決定がおりると、官報に名前や住所が載ります。
自己破産後の生活はどのようになりましたか?
自己破産後に日常生活を送るうえで困ったこと
借金から解放されたことの方が大きなメリットに感じられ、その後の日常生活はそこまで困っていません。
ただ、携帯電話を購入する際に、割賦を組む際は審査が通らない可能性があるということが唯一現実になったら困るな、というところです。
職場や知人・家族に秘密にできているのか?
家計を全て一緒にしていたので、配偶者の通帳コピーも必要だったため、配偶者に秘密にはできませんでした。
その他の家族には、特に知られずに自己破産することができました。
官報にも載りましたが、一般的な人達が読むものではなくバレていないと思います。
自己破産を終えてご自身で思ったこと
ずっと「どうにかできる」「次の給料の時は取り返せる」と自分の中で言い訳を続けて、結果的に500万円もの借金に膨れ上がっていました。
その間、何度も配偶者に相談する機会はありましたし、家族なのだから一緒に生活をしている者として正直話すべきだったな、と今では非常に後悔しています。
借金を繰り返すようになって、3年程度で首が回らなくなり、自分だけではどうにもならなくなった時に初めて弁護士事務所に相談しましたが、今思うともっともっと早く、少なくとも自分の給料で支払った後にいくらも残らなくなった時に相談しておけば違ったと感じています。
ちょっとでも「生活が苦しい」とか「借金をしなければ生活費を捻出できない」と思った段階で、弁護士事務所に相談した方がいいなと思いました。
自分自身、最初は自己破産に対するマイナスイメージが強すぎて、弁護士事務所に相談に行くまでに時間がかかりましたし、相談した時も「できるなら任意整理で」と言っていたくらいです。
でも、自己破産を終えて一度全てをリセットできた気持ちになっています。
あのまま、無理をして分割支払いを続けていても、全く生活は楽になっていませんし、やるだけ無駄だったと思います。
自己破産の手続き中、大変だなとか辛いなと思うことも正直たくさんありました。
弁護士事務所で自分のこれまでのことを話した時も辛いなと思いましたし、裁判官との面談の際も非常に緊張し、自分が裁かれるような気分にもなりました。
だけど、そんな不安を汲み取ってもらえて、弁護士からは常に「これは失敗じゃないですからね」とか「これからの人生をより良いものにするための再出発の手続きだと思ってください」と繰り返し言ってもらえたことで、自己破産に進めたと思っています。
借金額が多かったので、同時廃止は難しく、管財になるかもしれないと言われることも何度かあり、それでも弁護士の尽力のおかげで同時廃止で済みました。
自己破産手続きの際は、自分に素直になること、隠し事をしないことは当たり前に行いましたし、求められた書類に関してはかなり迅速に対応するよう努めました。
自分なりに誠意を表そうと思って行動しましたが、弁護士事務所でもその気持ちは理解してもらえたようで、良い事務所に頼んだなぁと今では思います。
借金を重ねていた時は自分に非常に甘く、なんとなくその場を乗り越えられたらOKというような気持ちが強かったと思います。
もちろん、返せるのであればOKではあるけれど、自分のようにその場しのぎが続いてしまうと、気付いた時には「え!こんなに返済額必要なの?」というところまでいってしまいます。
「料金未納のお知らせ」がいつもポストに入っている状態で、いかに家族にポストを見られないようにするかばかりを考える日々でかなりのストレスでした。
そのような状態の時には、もう取り返しのつかないところまできていると思います。
自己破産を終えて、家族に対する後ろめたさもなくなり、督促状が届くこともなくなり、本当にスッキリした気持ちで毎日を過ごしています。